2012年5月3日木曜日

HCD-Net セミナーin名古屋 2012(第1回)

今年もHCDのセミナーに出席することにしました。

昨年のセミナーは全5回のうち4回出席。正直なところ、実務の中ですぐさま役に立ったことって少なかったです。先生、すみません。

僕の様な半分畑違いの人間としては、まずは知識の海に溺れることから入って、もがいてもがいて浮上するというパターンが一番しっくりくるので、とにかくやってみましょうという感じで昨年、始めました。で、最近いろんなことを見聞きする上でHCDのセミナーで触れたものが頻出するようになってきて、点と点が線になりつつあるなーと思っています。

同時に他のこと、例えばディレクションだったり、デザインだったり、マーケティングだったり、IA的なことを割りと幅広く少しづつ勉強していく上で、HCDで触れたことっていうのが結構役立つんですよね。というのも、まず出てくる単語が理解できる。これが一番大きいです。言語の習得に似てるのかもしれないですね(日本語以外一切理解できませんが)。むかしDTMを始めた時、僕はPCほとんど触ったことがなくて、今と同じようにまずは知識を詰め込んだんです。そうするとふとした時に他の書籍だったりの理解が飛躍的に向上しているのに気がつくんですよね。

それと、今年は昨年までのHCDプロセスの学習とは一味違うようで、非常に楽しみです。去年のベースがあると理解が深まる気がするので、昨年からの出席者の人に相談してみると良いかもしれませんね。

こんな仲間もいますし。
https://www.facebook.com/hcddig

HCD概論 愛知工業大学 小林先生

昨年までの浅野先生のみの講義だけではなく、今回からHCD-Net主催の勉強会ということで小林先生の講義から始まりました。

まずはHCDって何なの?というところのお話をして頂きました。



人間の基本的認知段階
人間にはどうしても「こう感じてしまう」というものがあり、それに従って設計をすることで人間がより使いやすいものが出来ますよ、と理解しています。
・アナログ時計はなぜ12時間表記なのか
・文字詰めはなぜ一定間隔ではないのか
・展望と退避
・サバンナの優位性
・脅威の検出
・上方照明の先入観
などなど、事例を出していただきながら学びました。



原理・原則段階
このあたりから若干アカデミックになっていきます^^;
方向通則などはなんとなく知っていたのですが、その他書籍を挙げていただきながらの講義は、「当然知ってると思いますが〜」的な感じで進んでいき(それはわざとかも知れない)、ちょっと僕の知識レベルとは乖離がありました。しかしこの日はプロダクトデザインの方も多く出席されており、その方々は当然のものとして理解されてるかもしれませんね。今後の知識を深めていくべき分野かもしれません。



知識・調査段階
まずはユーザーを知らなければならない、という当然のことを教えて下さいます。その当然のことってなかなかできなくて、それで世の中には使いにくものが溢れていると思います。結局製作者側の妄想で作ってしまう。ここを少しだけ、できる事からでも始められれば、もっと使いやすいものに囲まれて暮らせるようになるのでしょう。ただ、僕の勤めているような小さか会社ではなかなか出来ない。できないというより、評価しづらい。という感じでどうしても省かれてしまい、ディレクターやデザイナーの経験則でものづくりをしてしまうのだと思います。



提供・仕様段階
ここではユーザー評価のお話をして下さいました。実際の使用中の評価から、HCDのプロセスに従って改良をしていく、というものです。以前僕が実務で関わった案件でも、公開前にすごく簡単なユーザー評価を実施したら、面白いくらいにタスクを達成できない、ということがありました。このときはラベリングの改善でなんとかしのいだのですが、もう少し早い段階でテストできれば良かったなと感じています。

小林先生のお話は、おそらく今年はじめてHCDに触れる人からすると相当難しかったのではないでしょうか。次回からの展開に注目したいですが、この第一回の講義でリタイアする人が居ないのを願います。



ワークショップ|スパゲッティ・キャンチレバー

続いて、浅野先生の進行でワークショップに入ります。これはスタンフォード大のブートキャンプで行われるものだそうです。20本のスパゲッティ(乾麺)をセロテープとタコ糸2mを駆使して、どれだけ机から水平方向に伸ばしていけるかをチームに分かれて競うものです。

浅野先生のブログからの引用ですが、このWSの目的は
・口頭でのコミュニケーション
・体験を通じたコミュニケーション
・最初のコンセプトを捨てる勇気
だそうです。僕のチームはあれこれ考える前に「とりあえずやってみよう」という感じで始めて、1回目、2回目ともにまずまずの結果が出ました。

ここで学んだことは、とにかくやってみて、作りながら結果を評価し、改善していく。そして二回目のチャンスもあるので、他チームの一回目の結果を参考にしていかにさらに良い結果を出すか、ということです。いわゆるウォーターフォールとアジャイルの違いを実体験で学ばせていただいた感じです。

今回は今年のセミナーの導入ということなので、ウォームアップ的な要素も強かったかもしれませんが、細かいサイクルで仮説検証を繰り返すことの重要さを再認識しました。



HCDにおける視覚化手法について 浅野先生

最後に浅野先生の講義がありました。僕は昨年のHCDセミナーに4回出ている等、何度も先生のお話を聞いているので少しずつ理解が進んできた感じがします。先生がいつも仰るのは、とにかくコトのためのモノという考え方ですよ、ということだと思います。良いUX(ユーザー体験)を提供するために様々なモノ(プロダクト、ソフトウェア、WEBサイト等)が存在するのであって、ユーザーはモノが使いたいのではないということです。

たとえ「iPhoneが欲しい!」という感情があったとしても、それは「iPhoneを使うことによって自分の生活を豊かにしたい!」ということでしか無いということです。つまり、「自分の生活が豊かに」なるのであれば、「iPhone」の部分はなんでもいいわけです。

これは、わかりきったことのようですが、意識していないとモノを作って終わりになってしまうので、今後も気をつけていきたいです。

とにかく「ユーザーはどうなりたいのか」ということに照準を合わせ、その要求に自分のできることで答えてあげられることは無いか?と考え、企画し、作ることが、今後の僕の仕事になると思います。

あと講義では、やはりモバイルは世界を変える可能性を持っているということ、スケッチすることの重要性、一度実際にやってみるということが大切だということを学びました。

それとアクティングアウトの重要性も。このあたりはなかなか腰が重くて出来ないことが多いですが、なんとか業務に取り入れていきたいと思っています。

懇親会はいつもの天狗、その後味仙という鉄板の流れ。まだまだ飲み足りなかった僕らは栄のがブリチキンで飲み直しました。。。

懇親会では浅野先生に「ビジネスモデル・ジェネレーションのWSできませんか?」とお願いしたところ、「じゃあやろうか」と言っていただき、開催の運びとなりました。ごく少数定員での開催となりそうですが、非常に楽しみです。ご参加いただける方は一度僕の方までご連絡下さい。

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